「イヤイヤ!」の正体とは

1-3歳

朝の支度中、「イヤだ!」「行かない!」「こっちがいい!」と、子どもの叫びに心が乱される…。
思わず怒鳴ってしまい、あとで自己嫌悪。そんな経験、誰もが一度はあるはずです。

でも、ちょっと待ってください。
実はその「イヤだ!」には、子ども自身も言葉にできない“本当の気持ち”が隠れているのです。

子どもがうまく言えない気持ちを、親が代わりに“翻訳”してあげる。
これが、世界中の教育者や心理学者が推奨する「感情の翻訳者としての親」の姿です。
今回は育児の名著をもとに、子どもの“イヤ!”の裏にある気持ちを読み取り、穏やかに接する方法をお伝えします。

■ 「イヤだ!」の正体は、“うまく言えない気持ち”のかたまり

『非暴力コミュニケーション(NVC)』の著者マーシャル・ローゼンバーグ博士はこう語ります。

“怒りや癇癪は、満たされていないニーズからくるSOSだ”

つまり、子どもは「分かってもらえない」「こうしたかったのに」という気持ちを
「イヤだ!」「もうキライ!」というかたちでぶつけてくる
のです。

その裏にある“未翻訳の感情”を、親が代わりに翻訳し、言葉にして返してあげる
これこそが、感情の通訳者としての親の役割です。


■ 「感情翻訳」の4ステップ

以下のようなプロセスで、子どもの“イヤ!”の奥を読み取っていきましょう。

ステップ内容ポイント
①観察する何が起きたかを“評価抜き”で見る子がズボンを投げた「ダメな子」などのレッテルは貼らない
②感情に名前をつける子どもが感じていることを代弁する「悔しかったんだね」怒り・悲しみ・恥ずかしさ・寂しさなど、正確に拾う
③ニーズを推測する子どもが何を欲していたかを探る「本当は、自分で選びたかったのかもね」選びたい、認められたい、待ってほしい…等
④共感を示す「その気持ち、分かるよ」と受け止める「ママも同じだったらイヤって言いたくなる」同じ目線に立つことで、子は安心する

■ たとえばこんな場面では?

✅ ケース1:服を着たくないと暴れる

NG対応:「いいから早く着なさい!」
翻訳対応:「この服、あんまり好きじゃないのかもね。何がイヤだった?」→「そっか、自分で選びたかったんだね」

✅ ケース2:おもちゃを取られて怒鳴る

NG対応:「そんな言い方しないの!」
翻訳対応:「貸したくなかったのに急に取られて、びっくりしたね。悲しかった?」


■ なぜ“翻訳”すると子どもは落ち着くのか?

子どもは、「感情を理解された」と感じたときに、初めて心を開きます
これは『Positive discipline』でも繰り返し語られています。

「子どもの行動には目的がある。親がそれを見抜いたとき、子は安心し、自分を調整できるようになる」──Jane Nelsen

また『孩子:挑战』では、「癇癪は“力の誤用”であり、親が力で返すと“力の闘争”になる」とも記されています。


■ それでも叱ってしまったときは?

どれだけ理解していても、毎日すべての瞬間に冷静でいるのは無理。
大事なのは「叱った後にどうするか」です。

さっきはママ、怒りすぎた。ごめんね

本当は、◯◯の気持ちを知りたかっただけなんだよ

謝ることで、“自分の感情を振り返る姿”を見せることが、最高の教育になります
子どもは、言葉ではなく、あなたの姿から感情を学んでいきます。


まとめ:

  • 子どもの「イヤ!」の裏には、“言葉にできない気持ち”がある
  • 親は“感情の翻訳者”になることで、信頼関係が深まる
  • 怒鳴ったあとでも、謝って回復できる

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