朝の支度中、「イヤだ!」「行かない!」「こっちがいい!」と、子どもの叫びに心が乱される…。
思わず怒鳴ってしまい、あとで自己嫌悪。そんな経験、誰もが一度はあるはずです。
でも、ちょっと待ってください。
実はその「イヤだ!」には、子ども自身も言葉にできない“本当の気持ち”が隠れているのです。
子どもがうまく言えない気持ちを、親が代わりに“翻訳”してあげる。
これが、世界中の教育者や心理学者が推奨する「感情の翻訳者としての親」の姿です。
今回は育児の名著をもとに、子どもの“イヤ!”の裏にある気持ちを読み取り、穏やかに接する方法をお伝えします。
■ 「イヤだ!」の正体は、“うまく言えない気持ち”のかたまり
『非暴力コミュニケーション(NVC)』の著者マーシャル・ローゼンバーグ博士はこう語ります。
“怒りや癇癪は、満たされていないニーズからくるSOSだ”
つまり、子どもは「分かってもらえない」「こうしたかったのに」という気持ちを
「イヤだ!」「もうキライ!」というかたちでぶつけてくるのです。
その裏にある“未翻訳の感情”を、親が代わりに翻訳し、言葉にして返してあげる。
これこそが、感情の通訳者としての親の役割です。
■ 「感情翻訳」の4ステップ
以下のようなプロセスで、子どもの“イヤ!”の奥を読み取っていきましょう。
ステップ | 内容 | 例 | ポイント |
---|---|---|---|
①観察する | 何が起きたかを“評価抜き”で見る | 子がズボンを投げた | 「ダメな子」などのレッテルは貼らない |
②感情に名前をつける | 子どもが感じていることを代弁する | 「悔しかったんだね」 | 怒り・悲しみ・恥ずかしさ・寂しさなど、正確に拾う |
③ニーズを推測する | 子どもが何を欲していたかを探る | 「本当は、自分で選びたかったのかもね」 | 選びたい、認められたい、待ってほしい…等 |
④共感を示す | 「その気持ち、分かるよ」と受け止める | 「ママも同じだったらイヤって言いたくなる」 | 同じ目線に立つことで、子は安心する |
■ たとえばこんな場面では?
✅ ケース1:服を着たくないと暴れる
NG対応:「いいから早く着なさい!」
翻訳対応:「この服、あんまり好きじゃないのかもね。何がイヤだった?」→「そっか、自分で選びたかったんだね」
✅ ケース2:おもちゃを取られて怒鳴る
NG対応:「そんな言い方しないの!」
翻訳対応:「貸したくなかったのに急に取られて、びっくりしたね。悲しかった?」
■ なぜ“翻訳”すると子どもは落ち着くのか?
子どもは、「感情を理解された」と感じたときに、初めて心を開きます。
これは『Positive discipline』でも繰り返し語られています。
「子どもの行動には目的がある。親がそれを見抜いたとき、子は安心し、自分を調整できるようになる」──Jane Nelsen
また『孩子:挑战』では、「癇癪は“力の誤用”であり、親が力で返すと“力の闘争”になる」とも記されています。
■ それでも叱ってしまったときは?
どれだけ理解していても、毎日すべての瞬間に冷静でいるのは無理。
大事なのは「叱った後にどうするか」です。

さっきはママ、怒りすぎた。ごめんね

本当は、◯◯の気持ちを知りたかっただけなんだよ
謝ることで、“自分の感情を振り返る姿”を見せることが、最高の教育になります。
子どもは、言葉ではなく、あなたの姿から感情を学んでいきます。
まとめ:
- 子どもの「イヤ!」の裏には、“言葉にできない気持ち”がある
- 親は“感情の翻訳者”になることで、信頼関係が深まる
- 怒鳴ったあとでも、謝って回復できる
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