「昨日まで笑ってたのに、今日は無視」「ちょっと注意しただけで大爆発」──そんな思春期の子どもに振り回されて、「うちの子、情緒不安定すぎない…?」と感じたこと、ありませんか?
でも、これは“育て方”のせいではないかもしれません。
最新の脳科学をもとに思春期を読み解くベストセラー『Your Teenager Is Not Crazy』は、こうした子どもの“謎行動”が、実は脳の再配線(リフォーム)中に起こっている必然的な現象であることを教えてくれます。
この記事では、親にできる具体的な関わり方まで、丁寧に解説していきます。
「大人のふり」ができない脳構造
思春期の子どもは、体は大人に近づいています。でも脳はまだ“工事中”。とくに未発達なのが前頭前野と呼ばれる部分で、ここは「感情のコントロール」「先を見通す判断」「衝動の抑制」などをつかさどります。
つまり、親から見ると「なんでそんなことで怒るの?」「なんで考えてから動かないの?」という行動も、できないのではなく、まだ脳が準備中だからなのです。
感情が先、理性はあと
さらに言えば、思春期は感情の中枢(扁桃体)が先に発達するため、感情が爆発しやすくなります。一方で、その感情を理性で制御する前頭前野はまだ未完成。だから、子ども自身も自分の怒りや不安をどうしていいかわからないのです。
そして、これは病気ではなく、健全な成長の一部。むしろこの時期に感情の波を経験することで、脳は「揺れの中でも安定する力」を育てているのです。
どう関わればいい?親にできる3つのこと
思春期の子どもが情緒不安定に見えるとき、親ができることはあります。以下の3つのステップを意識するだけで、家庭の雰囲気はぐっと穏やかになります。
1. 感情を「正す」のではなく「理解する」
「落ち着きなさい」と言いたくなる気持ちをぐっとこらえて、「今、何があったの?」と感情に寄り添う姿勢を見せるだけで、子どもは安全基地を感じます。
2. 「アドバイス」より「共感」
まだ脳が“工事中”の子どもにとって、論理的なアドバイスは届きにくいもの。「そんなふうに感じるの、わかるよ」と一言伝えるだけで、扁桃体の暴走をおさえる効果もあります。
3. 感情の波は「学びのチャンス」
情緒が不安定なときほど、「一緒に乗り越える」経験が、信頼関係を深めます。「あとからでも戻ってこれたね」「気持ちを言葉にできたね」と、“できたこと”に光を当ててあげましょう。
「壊れている」のではなく「作り変えている」だけ
思春期の脳は、まるで一度壁を壊して配線を引き直すような、大がかりなリフォーム工事の真っ只中です。ほこりも飛び交うし、音もうるさい。でも、それは大人になる準備の一部。
あなたの子どもは「情緒不安定」なのではなく、大人になるために必死でリフォームしている最中なのです。
その工程に、親としてどう寄り添えるか。『Your Teenager Is Not Crazy』は、親の不安を優しく受け止め、科学的に支えてくれる1冊です。
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