〜“プライド”が育てる、子どもの自己肯定感〜
「そんなこともできないの?」「ほら、〇〇ちゃんはちゃんとできたのに!」
こんな言葉、つい口にしてしまっていませんか?
でも、それが子どもにとって“プライドが傷ついた瞬間”かもしれません。
多くの親は「謙虚に育ってほしい」「慢心してほしくない」と願います。
しかし、その思いが「人前で叱る」「できないことを強調する」などの形になると、子どもは「恥をかかされた」と感じ、心に小さな傷を残します。
なぜ子どもにとって「面子」がそんなに大事なのか?
d一見すると“面子を気にするなんて大人の世界”と思うかもしれません。
でも、実は子どもこそ「他人にどう見られるか」に敏感です。特に小学生以降、自我が育つ過程で「自分の価値=周囲からの評価」と結びつけやすくなります。
中国のベストセラー育児書の『不吼不叫』では、「子どもの面子を立てること」は子どもの自尊感情を育てる第一歩だと強調されています。自分に自信がある子は、他人にもやさしくなれます。逆に、親からの「人前での辱め」が多い子は、自己肯定感が低くなり、やがては攻撃的・無気力・過剰な自意識として現れることも。
親ができる「面子を守る」関わり方
シーン | よくあるNG例 | 面子を守る声かけ例 |
人前でのミス | 「またそんなことして!」 | 「大丈夫、あとでゆっくり話そう」 |
友だちの前で比較 | 「〇〇くんはもっと上手だよ」 | 「あなたのやり方もいいと思うよ」 |
失敗への反応 | 「だから言ったでしょ!」 | 「失敗から学べるって、すごいことだよ」 |
面子を守るとは、叱らないことではありません。
人前では黙って寄り添い、個別にていねいに伝えること。
それだけで、子どもは「親に大切にされている」と感じ、自信を持って行動できるようになります。
メンツを守ることで育つ「誇りと責任」
面子を守ることで育つ「誇りと責任」
面子を保てた子どもは、自分の立場や言動に誇りを持ちます。
そしてそれはやがて、**“自分の言動に責任を持つ”**態度へと育っていきます。
あるお母さんは、小学2年生の息子が自転車に乗れないことを、ずっと周囲に隠していたといいます。恥ずかしがって教えるのも難しかった。でも、お母さんが「誰にも言わないから、一緒に練習しよう」と提案し、2人だけの秘密のように練習した結果、子どもはある日、誇らしげに「今日から乗れるようになったよ」と報告してくれたそうです。
これはまさに、面子を守ってもらった安心感が、挑戦と成長につながった例です。
「恥をかかせない」が、愛のかたち
親は「良かれ」と思って言ったひと言が、子どもにとっては「恥をかかされた」と感じることがあります。
でも逆に、そっと守ってくれた体験は、一生の支えになります。
だからこそ、
- 子どもの話を最後まで聞く
- 叱るときは一対一で
- 人前ではまず肯定から入る
そんなちょっとした気づかいが、子どもの“面子”を守り、“心”を育てます。
子どものプライドを守ることは、甘やかしではありません。それは、人としての尊厳を育てる教育です。
今日からぜひ、「恥をかかせない」子育てを、意識してみてください。
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