「もう何回言えばわかるの?」「いい加減にしなさい!」
──そんな言葉を、最近何度口にしましたか?
叱っても、怒鳴っても、まるで効いている様子がない。
むしろ、子どもはどんどん意固地になり、目を合わせようともしなくなる。
親としては「こんなに頑張ってるのに、どうして通じないの?」と、心が折れそうになります。
でも、実はそれ、「当然」のことなのです。
アメリカの臨床心理学者ジェフリー・バーンスタイン博士の著書10 Days to a Less Defiant Childでは、反抗的な行動は「直す」ものではなく、「理解すべきメッセージ」であると繰り返し説かれています

この記事では、反抗期の裏にある“本当の原因”と、私たち親がとるべき「正反対の対応」についてお伝えします。
「叱っても直らない」は、むしろ正常な反応
反抗期の子どもは、大人の指示に対して「嫌だ」「やらない」「うるさい」と反発します。
これに対して私たち親は、「ちゃんとさせなきゃ」と考え、より厳しく叱ったり、ルールで縛ったりしがちです。
しかし、バーンスタイン博士はこう述べています。
「親が強く出れば出るほど、子どもはそれに“反応する”ことで自分の存在を守ろうとする」
つまり、子どもの「反逆」「反抗」は、親の対応への“防御反応”であり、「悪い子だから起きる」わけではないのです。
子どもは自分の感情や選択を尊重されていないと感じると、それを怒りや無視という形で表現します。
それをさらに叱ると、彼らは「親にコントロールされている」と感じ、ますます頑なになります。
「なぜ言うことを聞かないの?」ではなく「何に困っているの?」へ
では、どうすればいいのでしょうか?
まず、子どもの「行動」ではなく、その背後にある「感情」に目を向ける必要があります。
- 反抗的な言葉の裏には、「不安」や「無力感」が隠れているかもしれない
- 命令に対する拒否は、「選択肢がない」という息苦しさの現れかもしれない
- 無視する態度は、「理解されない苦しみ」のサインかもしれない
叱るのではなく、まず「何があなたを困らせているの?」と聞いてみましょう。
大事なのは、子どもにとって“自分は理解されている”という感覚を取り戻すことです。
それが、反抗行動を和らげる第一歩になります。
「共感」が子どもの“脳の暴走”を止める
反抗的な態度は、脳科学的にも説明がつきます。
思春期の子どもは、まだ前頭前野(理性や判断をつかさどる脳の部位)が十分に発達していません。
そのため、感情の暴走を止める力が弱く、カッとなったときに爆発的な反応を示してしまいます。
ここで親が怒り返してしまうと、子どもはますます「闘争モード」に入り込み、親子関係が“パワーゲーム”になってしまいます。
大切なのは、大人が「安全な相手」であり続けること。
バーンスタイン博士は、こうした子どもに対して「まず受け止め、共感する」ことを推奨しています。
たとえば、
- 「嫌だったよね」
- 「そう思うのも無理ないよ」
- 「ムカつく気持ちはわかるよ」
と、感情に共鳴するひと言を先に伝えるだけで、子どもは「自分を見てくれてる」と感じ、攻撃的な態度を徐々にゆるめていきます。
「親の態度が変われば、子どもも変わる」は本当だった
「親が変われば、子どもも変わる」
一見すると、耳障りのいい理想論に思えるかもしれません。
でも、これはバーンスタイン博士が何百人もの親子を診てきた中で確信した、“実証済みの真理”です。
子どもの反抗を抑え込もうとするのではなく、その背景にあるニーズを見つけて応えようとする。
これこそが、叱らなくても子どもの行動が落ち着いていく“科学的な育て方”なのです。
【まとめ】反抗は「壊す」ためではなく「繋がり直す」ためにある
子どもの反抗期は、親にとってストレスフルな時間です。
でも、同時にそれは、子どもが「自分とは何か」を模索しているサインでもあります。
叱ること、管理することが“当たり前”と思ってきたなら──
その当たり前を、少し疑ってみてください。
子どもは壊れてなんかいません。
叛逆は、壊すためではなく、親との関係を「繋ぎ直す」ための試練なのです。
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