はじめに
「最近の親は叱らなすぎ」「それじゃ子どもがわがままに育つよ」
こんな言葉、耳にしたことありませんか?
たしかに「叱らない育児」と聞くと、「放任している」「甘やかしている」と感じる人もいるかもしれません。
でも本当にそうでしょうか?
実は、「叱らない」と「甘やかす」はまったく違う行動です。
違いを理解し、適切な“しつけの境界線”を知ることこそが、子どもの自律や社会性を育むカギとなります。
「叱らない」って何もしないことじゃない
「叱らない育児」とは、怒鳴らず・暴力を使わず・人格を否定せずに、ルールや期待を伝える育て方です。
つまり、「ちゃんと伝える」「正すべきことは伝える」が前提。
そのうえで、感情に任せた強制や脅しは避けるという選択なのです。
「叱らない」と「甘やかし」の違いはここ!
項目 | 叱らない育児 | 甘やかし |
---|---|---|
基本姿勢 | 子どもの気持ちを尊重しながら、境界を伝える | 子どもを喜ばせることが最優先 |
ルールの扱い | 明確なルールを伝え、理由も共有する | ルールを曖昧にしたり、その場しのぎで変える |
結果への対応 | 子どもの行動に責任を取らせる | 失敗しても親がすぐカバーする |
子どもの役割 | 一緒に考え、選ばせ、自分で決める | 親がすべて決め、子どもは従うだけ |
親の姿勢 | 感情的ではなく、冷静に関わる | 「いい親」でいたいがために迎合する |
「叱らない」しつけの基本3ステップ
🟡 1. 期待とルールは“あらかじめ”伝える
たとえば「おもちゃは寝る前に片づけようね」と前もって伝えておくことで、事後の衝突が減ります。
✅ NG:

なんでまた出しっぱなしなの!
✅ OK:

今日は寝る前に何を片づけるんだったかな?
🟡 2. 困った行動は“共感+リクエスト”で伝える
たとえば子どもがスーパーで寝転がってしまったとき…
✅ NG:

恥ずかしいからやめて!
✅ OK:

疲れたんだね。でも通路は歩く人がいるから、座るのはベンチにしようか
叱らずに、でもこちらの願いをきちんと伝える。この“優しくかつ毅然とした”姿勢が大切です。
🟡 3. 結果に責任を持たせる
「やらなかったから全部ママがやってあげる」ではなく、できる範囲で自分の行動に向き合わせる。

今日お弁当箱を出さなかったから、明日はおにぎりだけになるけど大丈夫?
これは“罰”ではなく、“自然な結果”として経験させること。
そうすることで「行動には影響がある」と理解できるようになります。
こんな声が増えています

怒るのをやめたら、逆に子どもが話を聞くようになりました

“どうしたらいい?”と聞くと、自分で考えるようになりました
これは、子どもが「否定される怖さ」から解放されたことで、自分の頭で考えたり、自分から動いたりできるようになった証拠です。
でも、優しくするだけじゃダメ?
もちろん、ただ優しく接していればいいわけではありません。
大切なのは、こうしたバランスです:
要素 | 内容 |
---|---|
やさしさ | 子どもの感情や立場に共感する |
毅然とした態度 | 必要なことはぶれずに伝える |
この両方があってこそ、「叱らない=甘やかしではない」育児が成立するのです。
おわりに
怒らずに伝えるのは、簡単ではありません。
でも、それは決して「子どもに甘い」ということではなく、「本当に伝わる方法」を選んでいるということ。
親が冷静であろうとする姿勢は、子どもにとって何よりの“しつけ”になります。
叱らない=何もしない、ではありません。
叱らない=考えて、選び取る、愛のかたち。
あなたの“伝えたい”が、きっとやさしく、強く、子どもに届きますように。
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