イタズラの裏─悪い行動の裏にある4つの動機

1-3歳

はじめに

「なんでそんなことするの?」
「何回言っても聞かない!」
そんな風に子どもの困った行動にイライラしてしまうこと、ありませんか?

でも実は、子どもの“悪い行動”には、すべて理由(目的)があるのです。
ただのわがままでも、反抗でもありません。

今回は、正面管教の理論に基づいた「行動の裏にある4つの目的」について、具体例と対話形式を交えながら解説します。


1. 注目を集めたい

最もよくあるのがこれ。
親の気を引こうと、わざとふざけたり、邪魔をしてきたりします。

ねぇママ、これ見て見てー!ねぇー!見てってばー!

ちょっと待ってって言ってるでしょ!

(わざとジュースをこぼす)

もう!!あんたは何でいつもそういうことするの!!!

親の反応がたとえ怒りでも、子どもにとっては「注目してくれた」ことになるのです。

✅ 対応のヒント

❌NG対応✅GOOD対応
怒鳴る・無視する予防的に注目を与える
「またそうやって!」と叱る「あと5分で見るね」と予告する

注目は“問題行動の前に”与えることがポイントです。


2. 権力を試したい・支配したい

親に対して「言うこと聞かない!」「やだ!」「ぜったいやらない!」と反発する場合は、力の対立が目的です。

そろそろお風呂に入りなさい

ヤダヤダ入りたくない!!絶対に入らない!!!

このとき子どもは、“命令されていること”に反発しています。自分で選びたい気持ちが強く出ているのです。

✅ 対応のヒント

❌NG対応✅GOOD対応
強制的に従わせる子どもに選択肢を与える
「じゃあいい!」と突き放す「今すぐと5分後、どっちにする?」と聞く

お風呂、今すぐ入るか、5分後に入るか選んでいいよ

うーん、じゃ5分後に入る

自分で選ぶと、納得感が生まれます。


3. 復讐しようとしている

ちょっと切ないけれど、これもよくあるパターン。
子どもが心の中で「自分は傷つけられた」と感じたとき、仕返しのような行動を取ることがあります。

今日はママと遊べないの、ごめんね

いいもん、ママなんか大っ嫌い!

「捨てられた」「わかってもらえなかった」という孤独や怒りが、攻撃的な言葉や行動に変わってしまうのです。

✅ 対応のヒント

❌NG対応✅GOOD対応
「なんてこと言うの!」と怒る「そう言いたくなるほど悲しかったんだね」と共感する
子どもの言葉を真に受ける「寂しかったのかもね」と受け止める

共感の言葉が、心の奥に届きます。


4. あきらめている(無力感)

何を言っても返事がない、動かない、無表情――
そんなとき、子どもは心の中で**「どうせ自分なんてダメ」と思っている**かもしれません。

またプリント忘れたの?

…もういい、どうせボクできないもん

叱られ続けたり、期待されすぎたりして、自己肯定感がすっかりしぼんでしまっている状態です。

✅ 対応のヒント

❌NG対応✅GOOD対応
「なんでやらないの!」と責める小さな成功体験を一緒に作る
期待しすぎる「できたこと」に焦点を当てる

昨日のプリント、自分でカバンに入れられたよね

うん……

すごく助かったよ。ありがとう

うん!

自己効力感を育て直すことが大切です。


まとめ:行動の“裏”を見よう

行動の目的サイン対応の方向性
注目集めちょっかい、ふざけ、わざとミス問題行動の前に注目を与える
権力争い強い拒否、「やだ!」「やらない!」選択肢を与える、対等な対話を心がける
復讐攻撃的な言葉や態度、「嫌い」「いらない」感情の裏にある傷つきを共感する
あきらめ無表情、やる気なし、「どうせ…」成功体験・安心感を積み上げる

おわりに対応の原則も同じ

  • 子どもの行動をただの問題と見なさず、その背後の目的(=感情のコード)を読み取る
  • 対応は「罰」ではなく、共感・選択肢の提示・成功体験の支援といった方法を用いる。
  • 「怒り・挑発・無力感・傷つき」を感じたとき、それは大人の心がその目的に反応しているサインだと見なす。

「どうしてそんなことしたの?」と聞いても、子どもは自分の目的を言葉にできないことが多いため、大人が優しく推測しながら子どもとやりとりする“目的揭示法”が推奨されています。これにより、子ども自身が自分の信念に気づくようになります

子どもは、困った行動で「わかってほしい」「つながりたい」と叫んでいるのかもしれません。
叱る前に、「この子はいま、何を求めてるのかな?」と考えてみてください。

それだけで、親子の関係がぐっと変わっていきます。
わたしたち大人も、「行動」ではなく「心」に寄り添える存在でありたいですね。

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