はじめに
「なんでそんなことするの?」
「何回言っても聞かない!」
そんな風に子どもの困った行動にイライラしてしまうこと、ありませんか?
でも実は、子どもの“悪い行動”には、すべて理由(目的)があるのです。
ただのわがままでも、反抗でもありません。
今回は、正面管教の理論に基づいた「行動の裏にある4つの目的」について、具体例と対話形式を交えながら解説します。
1. 注目を集めたい
最もよくあるのがこれ。
親の気を引こうと、わざとふざけたり、邪魔をしてきたりします。

ねぇママ、これ見て見てー!ねぇー!見てってばー!

ちょっと待ってって言ってるでしょ!

(わざとジュースをこぼす)

もう!!あんたは何でいつもそういうことするの!!!
親の反応がたとえ怒りでも、子どもにとっては「注目してくれた」ことになるのです。
✅ 対応のヒント
❌NG対応 | ✅GOOD対応 |
---|---|
怒鳴る・無視する | 予防的に注目を与える |
「またそうやって!」と叱る | 「あと5分で見るね」と予告する |
注目は“問題行動の前に”与えることがポイントです。
2. 権力を試したい・支配したい
親に対して「言うこと聞かない!」「やだ!」「ぜったいやらない!」と反発する場合は、力の対立が目的です。

そろそろお風呂に入りなさい

ヤダヤダ入りたくない!!絶対に入らない!!!
このとき子どもは、“命令されていること”に反発しています。自分で選びたい気持ちが強く出ているのです。
✅ 対応のヒント
❌NG対応 | ✅GOOD対応 |
---|---|
強制的に従わせる | 子どもに選択肢を与える |
「じゃあいい!」と突き放す | 「今すぐと5分後、どっちにする?」と聞く |

お風呂、今すぐ入るか、5分後に入るか選んでいいよ

うーん、じゃ5分後に入る
自分で選ぶと、納得感が生まれます。
3. 復讐しようとしている
ちょっと切ないけれど、これもよくあるパターン。
子どもが心の中で「自分は傷つけられた」と感じたとき、仕返しのような行動を取ることがあります。

今日はママと遊べないの、ごめんね

いいもん、ママなんか大っ嫌い!
「捨てられた」「わかってもらえなかった」という孤独や怒りが、攻撃的な言葉や行動に変わってしまうのです。
✅ 対応のヒント
❌NG対応 | ✅GOOD対応 |
---|---|
「なんてこと言うの!」と怒る | 「そう言いたくなるほど悲しかったんだね」と共感する |
子どもの言葉を真に受ける | 「寂しかったのかもね」と受け止める |
共感の言葉が、心の奥に届きます。
4. あきらめている(無力感)
何を言っても返事がない、動かない、無表情――
そんなとき、子どもは心の中で**「どうせ自分なんてダメ」と思っている**かもしれません。

またプリント忘れたの?

…もういい、どうせボクできないもん
叱られ続けたり、期待されすぎたりして、自己肯定感がすっかりしぼんでしまっている状態です。
✅ 対応のヒント
❌NG対応 | ✅GOOD対応 |
---|---|
「なんでやらないの!」と責める | 小さな成功体験を一緒に作る |
期待しすぎる | 「できたこと」に焦点を当てる |

昨日のプリント、自分でカバンに入れられたよね

うん……

すごく助かったよ。ありがとう

うん!
自己効力感を育て直すことが大切です。
まとめ:行動の“裏”を見よう
行動の目的 | サイン | 対応の方向性 |
---|---|---|
注目集め | ちょっかい、ふざけ、わざとミス | 問題行動の前に注目を与える |
権力争い | 強い拒否、「やだ!」「やらない!」 | 選択肢を与える、対等な対話を心がける |
復讐 | 攻撃的な言葉や態度、「嫌い」「いらない」 | 感情の裏にある傷つきを共感する |
あきらめ | 無表情、やる気なし、「どうせ…」 | 成功体験・安心感を積み上げる |
おわりに対応の原則も同じ
- 子どもの行動をただの問題と見なさず、その背後の目的(=感情のコード)を読み取る。
- 対応は「罰」ではなく、共感・選択肢の提示・成功体験の支援といった方法を用いる。
- 「怒り・挑発・無力感・傷つき」を感じたとき、それは大人の心がその目的に反応しているサインだと見なす。
「どうしてそんなことしたの?」と聞いても、子どもは自分の目的を言葉にできないことが多いため、大人が優しく推測しながら子どもとやりとりする“目的揭示法”が推奨されています。これにより、子ども自身が自分の信念に気づくようになります
子どもは、困った行動で「わかってほしい」「つながりたい」と叫んでいるのかもしれません。
叱る前に、「この子はいま、何を求めてるのかな?」と考えてみてください。
それだけで、親子の関係がぐっと変わっていきます。
わたしたち大人も、「行動」ではなく「心」に寄り添える存在でありたいですね。
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